汐の町にて
「汐の町にて」
満ち潮間近の夕暮れの海 いつもと変わらぬ波が砕ける
遠くを走る貨物船が 水平線に溶けてゆく
なんとなく流れ着いたこの町の 人々の顔は穏やかで
この町をよく知るおばちゃんの シワの数だけ歴史を物語る
何もない何もない ただ時が過ぎてゆく
何もない何もない ぬくもりだけが身に染みる
今日の風は穏やかで また明日が来ればいい
また明日が来ればいい
レンガ色した男たち 破れた網を縫い合わせる
今日の仕事も終わらぬうちに のれんもかからぬ店で酒を飲む
右へ左へと千鳥足 二・三歩歩いて風まかせ
大きな手のひら天高く 明日の海と空を祈る
何もない何もない ただ時が過ぎてゆく
何もない何もない ぬくもりだけが身に染みる
今日の風は穏やかで また明日が来ればいい
また明日が来ればいい
汐の町にて / よたすぅ
https://youtu.be/9l0gvbPN3EY
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